展覧会
2025年 春の画廊えんすいコレクション (2025年 3/1~4/13)
【展示作品】
福島金一郎 「花屋の前」、「サクレクール遠望」他
春日部洋 「VENEZIA」、「Place Bellecour」他
櫻井慶治 「エトルタ」、「オンフルールの室内」他
大久保泰 「プラム咲くニース港」、「雲の中のエトナ山」他
片岡真太郎 「海と人と(カンヌ)」、「女」他

花屋の前 / 福島金一郎
油彩 6号

VENEZIA / 春日部洋
油彩 10号


エトルタ / 櫻井慶治
油彩 10号
プラム咲くニース港 / 大久保泰
油彩 8号


海と人と(カンヌ) / 片岡真太郎
油彩 12号
【特別企画展】 片岡真太郎展 (2024年 11/1~12/15)
片岡 真太郎(かたおか しんたろう)
1926年(大正15年)~2016年(平成28年)
1926年(大正15年)~2016年(平成28年)
1926年大阪市東区(現在の中央区)で生まれた片岡真太郎(本名秀雄)は、1945年徴兵により陸軍に入隊しますが、特攻訓練中に終戦を迎えました。
1948年関西学院大学経済学部に入学、その頃から絵を描き始め数々の展覧会で入選を重ねます。
卒業後父親の希望もあり会社に就職しますが、美術制作は意欲的に続け、やがて終生の師 鈴木信太郎に出会います。
1959年会社を退職し制作に専念するようになった片岡は、60年代に入るとアンフォルメルの洗礼を受け、その作品にはメタフィジカルな考察が加わりました。
そして、奈良新薬師寺の「十二神将像」を題材にした当時の代表作「神将シリーズ」で、片岡は一躍画壇の注目を集めることとなります。
1960年代半ば、当時の文学の旗手高橋和巳と出会い、厳冬の日本海への取材に同行、「邪宗門」の挿絵を手掛けたことは、片岡に次の転機をもたらしました。
風雪舞う冬の越後、男鹿半島、下北半島で見た「厳しい北の海岸線」は、次第に片岡の内部の「精神の荒涼たる風景」と重なり合い始めます。
「人間は如何に生きるべきか」という課題にまっすぐ向き合った「海峡シリーズ」では、アンフォルメルから脱出して具象的イメージが少しずつ表れてきました。
1970年念願のフランスに出かけた片岡は、サロン・ドートンヌへの出品を始め、1978年にはル・サロンにも出品、受賞、会員となります。
ヨーロッパの古きよき時代の幻影を求めたこの頃の作品群で、具象への回帰はより明確なものとなりました。
1976年から、「画人の鑑」と慕う牛島憲之を中心とする立軌会で会員として活躍するようになった片岡の作品は、「海峡シリーズ」とはうって変わった柔らかくあたたかいものとなりますが、その裏には当時の社会に対する片岡の鋭い批判も潜んでいます。
人間を描く際には、「根底に一種の理想像があり、過去の映像が、そこはかとなく重なってくる。破戒した現代人への私の抵抗。」
海を描く際には、「猥雑で汚染された現代の海をモチーフにする程無神経にはなれなかった。回想の海は従って自分の憧憬の念が描かせるのである。」
ノスタルジックな画面を制作し続けたのは、本来の姿から外れた人や自然を拒絶する高潔さゆえでした。
さらにその頃から「無闇に日本の美の原点を識りたくなった」として、東洋への回帰が始まります。
「美神が手まねきする方向に、舟の舵をとった」結果、作品はより強く、簡潔に、禅や能の世界にまで接近していきました。
2001年刊行の画集「風ょ」に、75歳になった片岡は
「画家はカンバァスの空間を自由に旅する特権者だが、芸術は求めて得られることはない、ただ神のみが与えるものだ」
「美神の風のしらべよ 東西に重層する遍歴の旅 風の音に動かされ
たゆとう光景・風土をめぐり描いてゆきたい」
と記しています。
高い美意識を持った画家が感じた「美神の風のしらべ」を、静謐な空間でゆっくりとお楽しみください。
愛しの海
油彩 12号
白い船
油彩 15号

岬
油彩 15号
サン・ミシェル
油彩 10号
香川猛展 ー油絵と水彩画の小品展ー (2024年 7/14~7/23)
香川 猛(かがわ たけし)
1937年(昭和12年)~
1937年(昭和12年)~
1982年二科会会員、1993年二科展会員努力賞受賞、1996年二科会評議員、2006年二科会理事、2007年二科展内閣総理大臣賞受賞、2019年二科会常務理事、2022年より二科会名誉理事
その他、シェル美術賞展、文化庁現代美術選抜展、神奈川県展、伊豆美術際、銀座大賞展等、出品・受賞多数

雪の箱根
油彩 F6号

富士の見える家並
油彩 F4号


秋の山湖
油彩 F4号

春の山田風景
油彩 F3号
【特別企画展】 大久保泰展 (2024年 5/11~6/23)
大久保 泰(おおくぼ たい)
1905年(明治38年)~1989年(平成元年)
1905年(明治38年)~1989年(平成元年)
1905年豊橋に生まれた大久保泰は、原富太郎(三渓)の経営する富岡製糸場の工場長をしていた父の影響で、多くの画家や作家に囲まれて育ちました。
少年期に山本鼎に油絵の手ほどきを受け、絵画か文学の道に進むことを希望しましたが、芸術家の暮らしの厳しさを知る父に許されず、早稲田大学に進学します。
学生時代、陸上、氷上のホッケーの名選手となった後、卒業して第一銀行(現みずほ銀行)に就職しましたが、絵画への情熱を抑えきれず、1年間休職してヨーロッパに渡りました。
その際ロンドンで知り合った野口彌太郎に兄事、さらに児島善三郎の知遇も得て、独立展に出品するようになりました。
また持ち前の文章力も生かして、美術評論活動も開始、美術誌に連載した美術随想は、安井曾太郎の絶賛するところとなり、「古式の笑(序文 安井 表紙 野口)」以下次々と刊行されていきます。
第一銀行でも、虎ノ門支店長、業務部長等歴任した大久保泰は、「画家」「美術評論家」「銀行家」という「一人三役」を見事にやり遂げました。
画家として、兄事することはあっても師事することのなかった大久保泰は、独自の画風を完成させるにあたり、強く現場主義にこだわりました。
極力アトリエに持ち込まず、現場にイーゼルを立て、光や風、物音や匂いを感じながら描いた作品からは、見つめる画家の感動がまっすぐに伝わってきます。
「真・善・美」という言葉を愛し、83年の生涯を強い情熱を持って最大限生きた画家との対話を、落ち着いた空間で心ゆくまでお楽しみください。
早春のセーヌ川(パリ)
油彩 6号
パリ遠望(ムードンの丘より)
油彩 SM号

シニョリーア広場(フィレンツェ)
油彩 10号

凱旋門の窓(パリ)
油彩 8号
2024年 春の画廊えんすいコレクション (2024年 3/1~4/21)
【展示作品】
青山義雄 「アッシジ風景」
伊藤泰造 「慶びの花」
福島金一郎 「モンマルトルにて」「地中海キャンネ風景」
別府貫一郎 「ナポリ」
三吉亮久 「熱海」
青山龍水 「セーヌ河」「シャルトルの街」
大久保実雄 「パリの裏町」
妹尾正雄 「小笠原の海」
櫻井慶治 「御坂峠の春」「川奈風景」
桐野江節雄 「パンヂー」
春日部洋 「ゴブラン通り」「カンヌ」
金澤満寿雄 「サクレクールへの道」「港の風景」
【特別企画展】 櫻井慶治展 (2023年 10/26~12/17)
櫻井 慶治(さくらい けいじ)
1919年(大正8年)~2016年(平成28年)
1919年(大正8年)~2016年(平成28年)
1919年千葉県印旛郡和田村(現佐倉市)で生まれた櫻井慶治は、千葉県師範学校(現千葉大学)を卒業後、1941年東京美術学校(現東京芸術大学)に入学しました。
召集、従軍で画業の中断を余儀なくされましたが、大変な困難を経て生還し復学、在学中に光風会展に連続入選を果たします。
1949年東京美術学校を卒業すると、すぐに日展に初入選、光風会会員にも推挙され、早くから周囲の注目を集めました。
1956年に渡欧した櫻井は、そこで印象派、フォービスム、キュビスムまで、あらゆる刺激を貪欲に吸収して、その才能を磨き、可能性を拡げていきます。
本展では、櫻井が様々な可能性を模索した初期の作品から、当画廊にほど近い上落合のアトリエで制作した晩年までの作品を取り揃え、その変化と挑戦に富んだ画業を振り返ります。
75歳を迎えた際、作品集の巻頭に「作家の宿命として一貫して生きる態度は絶えざる努力によるもので、このことは素質や思いつきに優先されなければなりません」と記した櫻井慶治の「一貫して生きる態度」を、本展の作品たちから感じて頂けたら幸いです。

セーヌ河新緑
油彩 4号

セーヌ河とエッフェル塔
油彩 SM号


妙高々原
油彩 3号

ぼたん
油彩 8号

【特別企画展】 ~柔らかな光と色 自己との調和~ 春日部洋展 (2023年 5/13~7/31)
春日部 洋(かすかべ ひろし)
1930年(昭和5年)~1998年(平成10年)
1930年(昭和5年)~1998年(平成10年)
1930年東京に生まれた春日部洋は、叔父に画家春日部たすくを持ち、若い頃から独立美術展、水彩連盟展等に出品、野口彌太郎に師事しました。
1961年から数年間渡欧、ヨーロッパの柔らかい光や明るい色に大いに魅せられ、1970年からはパリに定住して制作に励むことになります。
主なモチーフとなったパリ、カンヌ、ヴェネチア等の風景は、春日部曰く「そのまま描いて絵になる美しさ」でしたが、一方で「単なる色と形を見て、それをいくら描いても、自分のやりたいものは出てこない」という問題意識を抱えていました。
1981年に帰国後は、師である野口彌太郎から引き継いでいた池袋のアトリエとパリに残したアトリエを往復して制作を続けます。
本展では、野口に師事した初期の作品からヨーロッパ在住時代、そして帰国後晩年までの作品を取り揃え、その真摯な画業を振り返ります。
春日部は生前「長く外国に住むということは、自分の国を理解すること」と語りました。
柔らかな光と色に包まれた美しい風景と、日本人画家の内面が丁寧に調和された作品を、ゆっくりとお楽しみ頂けたら幸いです。

熱海風景
油彩 6号変形 1956年

VENEZIA
油彩 10号 1974年


ラロッシェル
油彩 10号 1980年

カンヌ
油彩 50cm×50cm 1996年

2023年 春の画廊えんすいコレクション (2023年 3/11~4/16)
【展示作品】
成川雄一 「桜」「壷」
伊藤泰造 「新緑 洛北柊野」
渡辺貞一 「赤い煙突」「静物(ぶどう)」「ガスタンクの見える風景」
妹尾正雄 「ばら」「内海之山(広島・内海)」
井上長三郎 「セーヌ川岸」「ドニエプル河畔」「(タイトルなし・風景)」
田村泰次郎 「早春の初島」
福島金一郎 「ノートルダムを望む」「ノートルダム遠望」「パリ十四区ポールロアイアル街」
「公園」「巴里郊外 セーブル風景」
【特別企画展】 ~穏やかな生活の喜び~ 福島金一郎展 (2022年 11/8~2023年 1/31)
福島 金一郎(ふくしま きんいちろう)
1897年(明治30年)~1994年(平成6年)
1897年(明治30年)~1994年(平成6年)
福島金一郎画伯は、1897年(明治30年)岡山県勝田郡勝央町勝間田の老舗「板屋菓子店」の二男として誕生されました。
雅人だったお父上嘉兵衛氏の影響もあり、早くから画業を志し、小出楢重氏、鍋井克之氏に師事します。
「海の見える庭園」で二科展初入選後、アテネ・フランセを卒業、1928年(昭和3年)にパリに渡りました。
パリではボナールに師事、翌年にはサロン・ドートンヌ入選を果たします。
福島画伯の作品は、色の魔術師と言われたボナールの鮮やかさと、画伯の天性の朗らかな性格が融合し、楽しげで健やかな印象を与えます。
90歳を過ぎても渡仏して、パリの美しい街並み、そこに暮らす人々を描き続けた画伯の作品には、いつも穏やかな生活の喜びがあふれています。
ぜひ画伯が残された明るい作品たちに囲まれ、至福のひと時をお過ごしください。

エトルタの海
油彩 6号

エッフェル塔 遠望
油彩 4号

パリジャンヌと広告塔
油彩 3号

エッフェル塔の見える街
油彩 2号

セーブル風景
油彩 1号

ある日のセーヌ河
油彩 20号